毒にも薬にもならずただじっとしている

読んだ後に何も残らない、を提供していきたい

歌詞を考える

らふぃおらという歌がある。

悲しみに満ちる世界、

心まで消えそうな時、

優しい言葉よ、胸に届け、どうか笑って

 

こんな優しい歌詞があるだろうk、いやない。(食い気味)

誰にでも落ち込むことや失敗することがある。そんな時自分を責める言葉や攻撃的な意見に飲まれて余計に落ち込むことも往々にしてある。そんな時にはこの歌を聴いて、あたたかい言葉に救われる心がきっとあるよ。この歌を聴くとそう言われているような気がして何度も聞いてしまう。いい歌です。

ゴールデンボンバー『ラフィオラ(Life is alright)』)

 

歌詞繋がりで、翳りゆく部屋という歌がある。

ランプを灯せば街は沈み、

窓には部屋が映る。

冷たい壁に耳をあてて

靴音を追いかけた。

 

こんな文学的な歌詞があるd…いやない。(食ってる)

夕暮れ時に、電気もまだついてない部屋にいたんですね。少し気まずい雰囲気の恋人といて、沈黙が怖くて、でも言葉にしたらこの関係は終わってしまうだろうとお互いにわかってる状況で、日は沈んでいく。そうすると窓のそとの家々には灯りが灯ってどんどん空は暗くなっていく、反対側に部屋の中では、相手の表情のない顔が窓に反射してくっきりしてくる。程なくして相手は部屋を出たんでしょうね。部屋の外、きっと集合住宅なんでしょう、冷たい鉄筋コンクリートのマンションの廊下をコツコツと去っていく相手の靴音が響いていくのを、部屋の中から壁伝いに音を聞いている。いや追いかけたいんだよ?本当は。けど簡単に部屋を出て引き止めて止められるような別れじゃないんでしょうね、引き止めても無駄なのかもしれない、最初から間違いだったのかもしれない、それは2人にしかわからない関係だったんでしょう。だから名残惜しくて、あなたの最後の靴音だけでも聞かずにはいられない、追わずにはいられないんだよ。

これを2行で表現してるんだもの、こんなの天才の歌詞ですよね。

松任谷由美『翳りゆく部屋』)

 

さらに歌詞繋がりで思い出したんですけどね、小名浜という歌(ラップ)があるんですね。

中学卒業も更正院
数年後には準構成員
旅立ちまるで小名浜のカモメ
行ったり来たりが歩幅なのかもね

くじけた背中を洗うソープ嬢
泡と流す殺気立つ毒を

 

私はほとんどラップの曲を聞いたことがないのだけど、この小名浜だけはずっと記憶に残ってて、例えるとショートムービーを見ているような歌なのです。だいぶ荒んだ家庭に育ち、不良から暴力団関係の道に進み、そんな環境を抜け出そうとするんだけど、この曲全体をどんよりした曇り空が覆っているような感覚。韻を踏んでるとかそういう技巧的なものの凄さというより、狭い閉ざされた世界で、必死にその時自分が選べる最善の選択肢を選んで前に進もうとしてきたけど、何年経っても堂々巡り。3歩進んで2歩下がるならまだしも、同じ場所を行ったり来たり、人を信じてまた裏切られ、諦めてるのに希望が捨てきれない、何度もあがいてやり直そうとしてはまた道を逸れ、順風満帆な人の歩幅と比べると、理解はされないかもしれない。そんな自分の人生の歩幅をようやく自分で受け入れそうだ。その様子が故郷小名浜のいつもの空を揺れるように飛ぶカモメとリンクする。しかもこのカモメのシーン、準構成員として逮捕されて刑務所から帰ってきて再出発だって門出なのに、すぐにソープ嬢との場面に切り替わる。リアルだ。作り物のドラマとは訳が違う。ソープ嬢がくじけた身体と一緒に今までの毒を洗い流してくれる。旅立ちを美化しすぎず、人間っぽさをそのまま歌にしたところがこの歌の良いところだと感じる。

(鬼『小名浜』)

 

どの歌もいい。三者三様人間らしくて好きだ。