皆さま、甘いパスタを食べたことがあるだろうか?
甘いピザなら食べたことあるんじゃないかな。ホットチョコピザとかハニーチーズピザとか。あれは良いものだ。おいしい。しかし、甘いパスタはどうか。残念ながら私は修行が足りず、一口食べて、その味わいに絶望してしまった。(ただ、その後意地で完食した)
同じ小麦粉なのに…。製造方法が違うというだけで、許されるものと許されざるものとへの分断が起こっている。その差はごくわずかのはずなのに、なぜこうも違うのか、そう思ってしまった。私はこのパスタと分かり合えないのだろうか、と。
皆さんご存知の通り、名古屋にはマウンテンというお店がある。↓(喫茶 マウンテン https://g.co/kgs/EaxUoy)
かく言う私も甘いパスタをここで食べた。東海圏ではかなりの有名店で、この唯一無二の味わいを求めて全国各地から甘いパスタを食べに来るようだ。しかも種類豊富で私が食べた甘いパスタは生クリームとチェリーの乗ったオーソドックスなものだったが、他にもあるようだった。初めは怖いもの見たさに近い感覚だった。ただ2口目以降は「ダメだこいつ、なんとかしないと!」とゾンビウィルスに感染してしまった友人をどうにかしようとワクチンを探して戻ってきたら、既にゾンビ化が進行しすぎてて泣く泣く銃で撃つことを決意する、みたいな心境に近かった。
脳内で「え〜!おいしいのに〜!」と誰かの幻聴が聞こえる。出来ることなら私だって美味しくいただきたかったさ…。けどね、難しかったよ…!難解な味だったんだもの…!鬼束さんだって歌っていたじゃないか、『分かり合えてるかどうかの答えは、たぶんどこにもない』と。ごめん、ちょっとなに言ってるかわからないね。(錯乱)
そうだ、あのパスタを食べた時の感覚は、『錯乱状態』に1番近かった気がする。自分の想像外の味だったからか、はたまたいつも自分が食べ慣れている味とかけ離れていたからかは定かではないが、頭と気持ちと五感と身体がそれぞれ噛み合っていなかった。
しかし、人間誰しも新しいものに順応するには時間がかかるもの。何度かリピートすることで慣れて平気に、果ては好物になったりするもの。もう一度食べたら前よりは分かり合えるだろうか。食べ物とさえ分かり合えないのなら、人間同士分かり合うなんて不可能だ。
時に、ヘーゲルの言葉を思い出すと、他者を否定する者と否定された者、それぞれが今度は自分を顧みて「あぁ、私のここが良くなかったな。確かにあなたの言う通りですね」「いやいや、私の方こそ悪かったですよ」「いえいえ、そんなそんな…」「どうぞどうぞ…」みたいなやりとりを絶えずしていくことが、人間には必要だと言っていた。(気がする。世に言う「絶対知」というやつ)↓
これはまさに甘いパスタを巡る私の姿勢なのではないだろうか!?と思ったけど、あれ以来、マウンテンに足を運ぶこと自体に躊躇いが入って、3年経った今も行けてないので、違うかもしれない。誰か代わりに行ってきて…。パスタと和解してきて…。